最近、東京が氷点下に冷え込むとニュースになりますが、このニュースにはいつも少し違和感を覚えます。
 というのは、めったに氷点下に冷え込むことがないのは、あくまで東京都心部だけで、都心部のまわりの東京近郊は、そこそこ冷え込むからです。

 他県民から見ると、東京近郊の神奈川や千葉、埼玉などは、東京とほぼ同じ気温ではないかと思われがちですが、長年、東京近郊に住んできた私の感覚からすると、最近かなりの気温差を感じるようになってきました。
 
 そのことを気象データから明らかにするため、当ブログにて都心部と、実際に私が住んだことのある東京郊外の都市で比較・検証してみることにしました。

 比較対象の1つ目は、私の出身地である神奈川県相模原市、としたいところでしたが、相模原にはアメダスがないため、隣接する八王子市を比較対象に挙げました。
 2つ目は、現在住んでいる船橋市。
 そして北国との比較という意味で、北海道より、冬の道内で恐らく一番冷え込まないと思われる奥尻島を3つ目比較対象に挙げてみました。

 本年1月の最低気温のデータは以下のとおりです(数値は℃)。

日付 東京 八王子 船橋 奥尻
1/1 3.1 -2.0 1.0 -0.5
1/2 3.1 -1.9 0.6 -1.4
1/3 3.8 -2.2 0.4 -1.0
1/4 2.4 -1.0 -0.4 -4.3
1/5 3.9 -2.1 1.2 -4.7
1/6 2.1 -3.2 -0.7 -3.5
1/7 1.9 -5.0 -2.6 0.1
1/8 2.8 -2.0 -0.5 -1.1
1/9 3.0 2.1 2.5 -6.6
1/10 1.4 -2.4 -1.5 -6.6
1/11 0.7 -4.4 -3.1 -5.4
1/12 1.4 -3.6 -1.5 -6.2
1/13 2.4 -3.2 -0.4 -6.6
1/14 1.7 -5.1 0.4 -5.9
1/15 1.8 -3.1 -0.3 -4.1
1/16 -0.2 -5.5 -3.5 -4.1
1/17 2.9 -2.6 -0.5 -4.3
1/18 2.8 -0.7 -1.2 -3.4
1/19 2.0 -3.2 -0.1 -2.8
1/20 0.7 -4.4 -2.4 -3.3
1/21 1.8 -2.4 -0.3 -2.2
1/22 2.1 -1.1 0.0 -4.1
1/23 2.8 -4.1 -1.1 -4.3
1/24 2.4 -1.3 1.1 -2.0
1/25 3.0 -1.6 -0.2 1.8
1/26 2.4 1.1 1.6 -4.3
1/27 1.4 -4.2 -1.0 -4.7
1/28 1.1 -3.8 -0.7 -5.5
1/29 4.9 -2.4 3.7 -6.4
1/30 5.1 -1.0 3.2 1.5
1/31 6.2 0.5 4.0 -5.4
平均 2.5 -2.4 -0.1 -3.6

 東京が氷点下まで冷え込んだのはわずか1日なので、氷点下がニュースになってしまうのは仕方ないことかもしれませんが、八王子では奥尻と同じ28日、船橋でも19日、氷点下に冷え込んでいたのです。
 1月の平均最低気温でも、八王子は東京に比べ4.9℃も低く、船橋でも2.6℃低いことが分かります。
 八王子と奥尻を比較すると、平均最低気温では奥尻の方が1.2℃低いですが、氷点下に冷え込んだ日数は28日と全く同じであり、奥尻より八王子の方が最低気温が低かった日が11日もあります。

 今年1月のデータ以外に、1月の最低気温の平年値(1981年~2010年の30年間の平均)を南房総の館山と比較してみると、東京の2.5℃に対し、館山は1.0℃と、何と南国館山よりもずっと高いのです。

 以上のように、東京の冬の最低気温は決して南関東を代表する気温ではなく、あくまで東京都心部の限定された気温で、郊外ではおおよそ2~5℃くらい平均して低いということが言えると思います。

 30年前の1984年1月の東京は氷点下が13日あったのに対し、2014年1月の東京は氷点下がわずか1日と、ここまで冷え込まなくなってしまったのは、コンクリートジャングルに加え、ウォータフロント等の開発によるものでしょうか?

 なので、東京の氷点下をニュースにするのではなく、南関東全域が氷点下に冷え込んでいるのに東京だけプラス気温であることをニュースにすべきではないか?と感じてしまう今日この頃です。

 北国から冬の東京に来られる皆さん、関東平野の冬はからっ風や放射冷却による冷え込みが発生しやすいので、東京の気温だけを見て油断したまま郊外に行くと、思わぬ寒さにブルっと震えることになるかもしれませんよ(笑)