美瑛の丘めぐりをしている時、もし畑の中に入って写真を撮っている人を発見したら、あなたは
  • 追従して畑に入って写真を撮りますか?
  • 見て見ぬふりをしてその場をやり過ごしますか?
  • それとも勇気を持って注意しますか?

 嵐が出演するJALのCM『「ニッポンをみつけよう」五本の木』に登場した五本の木(通称『嵐の木』)。
6月上旬に立入禁止の看板が立てられてからは、畑(私有地)への侵入者はほとんどいなくなったようですが、一時、地主の方のご好意により一部観光客を招き入れていたためか、無断で勝手に踏み入って良いと勘違いした追従者が続出してしまったようです。
 また、嵐の木の下まで行った人からの写真がネット上で出回ってしまったことも、恐らくそれに拍車をかけてしまったのでしょう。

 Twitterフォロワーさんからのその時の様子です。
 追従して私有地に侵入して行こうとした人達に「入っちゃダメだよ!」と注意されたそうですが、無視され、挙句に既に入っている人がいたため「あの人たちは?」と逆に文句を言われてしまったそうです(大勢の人がゾロゾロと畑に入っていく中、孤軍奮闘したフォロワーさんの勇気ある言動を称えたいと思います!)。

 その結果がこの有り様です。
 ここは道路から見て、嵐の木のすぐ裏側の畑で、近くにご在住の農家の方々がこの麦を刈る予定なのだそうですが、これはその様子を見に来た時の写真だそうです。

 そしてつい先日もフォロワーさんから以下の投稿がありました。

 何でこのような悲惨な状況になってしまったのでしょうか?

 あくまで推測でしかありませんが、誰か一人が越えてはならない一線を越えてしまったがために、続々と追従する者が出てきてしまったのではないでしょうか?
 写真からはご年配の方々が多いようですが、人生の先輩がこの有り様じゃと思う反面、誰かが一線を越えてしまうと、人の心理はこれほど大胆になるのかと恐ろしくなってしまいます。

 当たり前の話ですが、先陣を切って畑に入ってはならないことは勿論、誰かが畑に入っていたとしても決して追従してはいけません。それが守れないと以上のような酷いことになってしまいます。


 では畑への侵入は、法律上どのような罪になるのでしょうか?
 残念ながら住居侵入など(刑法第130条)のような不法侵入に該当する罪はありません。
しかし、軽犯罪法第1条32号「入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入った者」に該当しますので、逮捕されれば「拘留1日以上30日未満、科料千円以上1万円未満」に処される可能性があります。

 勿論、単に畑に侵入するだけでなく、農作物を踏み荒らしたり、トラクター等の農機具に損傷を与えたりしたら、器物損壊罪に問われます(親告罪なので被害届が必要)。

  よって以下の写真は、「立入禁止」看板内の私有地に入っているように見えますので、地主の承諾を得ていなければ、たとえ足や三脚が小麦畑の中に入っていなくても、軽犯罪法第1条32号違反に該当すると考えられます。


 そして畑への侵入は、単に軽犯罪法違反というだけでなく、農家の方々が最も恐れる病原菌や害虫の侵入といった最悪の事態を招きかねません。
 詳しくはこちらのサイトに書かれています。
 あなたの靴底・三脚・タイヤに付いた病原菌や害虫がジャガイモ畑を全滅させ、農家の方に大損害を与えてしまうかもしれないのです。
 美瑛・富良野の丘めぐりをされる方、それ以外でも農村地に観光に行かれる方は、是非ご一読頂ければと思います。


 観光客による畑侵入の問題は、昨日や今日に始まった話ではありません。恐らく、拓真館オープンにより観光客が急激に増えてから約四半世紀もの長い間、農家の方々はこの問題に悩まされ続けているのではないかと思います(富良野周辺では「北の国から」放映後の30年くらい前からかもしれません)。

 そして最近目につくのが、アジア系(道内観光客数は、台湾>香港>韓国>中国の順だそうです)観光客の酷さ。綺麗な花咲くジャガイモ畑の中をまるでドラマの主人公であるかのように歩きながら写真を撮ったり、ロールの上に乗って遊んだり等、まわりの目を全く気にしない大胆な行為は、「旅は恥のかき捨て」とばかりに羽目を外しているだけなのか、文化や価値観が日本人と大きくかけ離れているためなのか、甚だ理解できません。


 美瑛の丘の美しい景観は、農家の方々が日々厳しい自然と戦いながら作り上げてきた「美しい農村景観」です。そして畑は農家の方々の大切な仕事の場であり、そこには我が子のように日々苦労しながら大事に育てている農作物があります。
 畑に入るという行為は、農家の方々の日々の苦労を踏みにじる悪質な行為です。マナーや軽犯罪法違反という以前に、人として決して許される行為ではありません。それは日本国内のみならず、それぞれの国の法律や文化がどうであれ、全世界共通の価値観として、ごく当たり前のことではないでしょうか。

 この問題は時が経てば自然に解決するものではありませんし、このまま放置しておいたら、海外からの観光客増加とともに、恐らくますます酷くなってしまうのではと危惧しています。
 また、都会に住む多くの人は、自分が旅行に行った時に綺麗な景色が見れれば良いと、このような問題に無関心ですし、中には畑を公園や観光花畑の延長としか見ていない人もいるようです。

 だから私は1美瑛ファンとして折を見てこの問題を訴え続けます。一人でも多くの人に伝わるように。願わくば、台湾、香港、中国等の方々にも伝わるように。
 そしていつか「私有地につき立入禁止」の看板がなくても、農家の方々が安心して仕事に専念できるようになればと心から願っています。
 それが最終的には、美瑛の丘の景観を守ることにも繋がっていくことになるでしょうから。


 最後に、冒頭の問いかけに対する私自身の答え。 

 美瑛の丘めぐりをしている時、もし畑の中に入って写真を撮っている人を発見したら、
  • 他人が入っているからといって決して追従して畑に入ったりしません。
  • 決して見て見ぬふりをして黙認したりはしません。
  • お声かけ若しくはクラクション等で注意させて頂きます。
 そして、注意しても全く聞かず、畑を踏み荒らすなど悪質極まりない侵入者に対しては、
  • 証拠写真を撮り、しかるべき対応を行います。
  • もし現場でまわりの方々の協力が得られるのであれば、軽犯罪法第1条32号違反の現行犯として私人逮捕(刑事訴訟法213条)を行い、警察に突き出すという対応も考えます。

美瑛の丘を守ろう



↓↓ブログランキングに参加しています。 クリックして頂けると嬉しいです!