美瑛町が今まで行ってきた、農地への無断侵入問題対策。

 ・農地への立入禁止の看板設置
 ・観光アドバイザーによるパトロール
 ・びえいマップへの観光マナーに関する記載
 ・観光マナーに関するパンフレットの作成
 ・観光協会ホームページやブログでの観光マナーの提示
 ・観光協会のSNSを通じて、観光マナー遵守の呼びかけ など

 そして昨年、美瑛ルールが制定されました。

 この美瑛ルールは、ドローン規制など新たに加わった内容もありますが、言わば今まで訴えてきたことをまとめ上げたものであり、今まで訴えてきた観光マナーの延長線上あるものと理解できます。

 今までも、観光マナーを観光協会のホームページやブログ等に掲載したり、観光協会のFacebookやTwitterなどのSNSを通して観光マナーを訴えてきました。

 浜田町長の言う「美瑛ルールをSNS等を通して世界に発信」は、今まで行ってきたことと何が違うのでしょうか?

 25年以上もの長い間解決できなかった問題への対策として、有効な政策なのでしょうか?

 今まで行ってきた「観光マナー」を「美瑛ルール」に置き換えて訴えるだけでは、同じような政策の繰り返しているだけであり、結局、何も解決しないのではないでしょうか?

 一昨年に行われた丘のまち美瑛 景観・写真国際フォーラム2017、昨年行われた丘のまち美瑛 景観・写真国際フォーラム2018は、アジア圏30億人のうち、果たしてどれだけの人達に伝えることができたのでしょうか?

 これらイベントは、何を目的として開催したのでしょうか?
(目的や目標を示すような文言がどこにも見当たりません)

 目的達成のための評価指標は何でしょうか?
(仮に、世界の人達に発信することが目標なのであれば、その定量的な評価指標が提示されなければ、目的が達成できたのか分かりませんよね?)

 これらイベントの開催により、掲げた目的は達成できたのでしょうか?
(定量的な評価指標の提示と、目的が達成できたかを評価できるような情報収集できる仕組みがない限り、目的を達成したとは口が裂けても言えませんよね?)


 私が考えるに、この問題に対する美瑛町の政策に一番欠けていること、それは、
明確な政策目標の設定
目標が達成できたかを確認できる定量的な評価指標の設定
評価指標に達成できたか判断ができるような情報を収集する仕組みの構築
 だと思います。

 ですから、長い間、同じことを繰り返すだけで政策の客観的評価ができないため、観光客の増加に伴い、年々状況が悪化してしまうのだと思います。


 通常、問題を解決するためのプロセスとしては、以下のような方法が一般的だと思います。
 ①目標を設定する
 ②目標に達したかどうかの評価指標を設定する
 ③評価指標に達したかどうか情報収集できる仕組みを検討し、なければ政策に盛り込む
 ④目標を実現するための対策(政策)を立案する
 ⑤議会でその対策(政策)を検討し、予算も含めて承認をとる
 ⑥対策(政策)を実施する
 ⑦評価指標に達したかを評価する
 ⑧評価指標に達していない場合、その理由を分析する
 ⑨分析結果に基づき対策(政策)を立案(又は修正)する

 2014年以降、「広報びえい」を毎月見ておりますが、この問題に対してこのようなアプローチをしているような記載はいっさい見たこともありませんし、「びえいの議会」においても、このようが議論が議会で行われているようにはいっさい見えませんでした。


 行政における目標と評価指標の設定について参考になる事例が、最近もニュースで取り上げられた「日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例」です。

 「HAPPY BIRTHDAY NATALIE」という文字が鳥取砂丘に大きく落書きされていたことだけがニュースに取り上げられていますが、少し調べてみると、とても良いお手本でありそうなことが分かってきました。

 生活環境部 砂丘事務所の工程表
 鳥取県では、この条例を遂行するにあたり、明確な政策目標を定め、目標への達成基準を評価するための定量的な測定指標を設定し、目標達成に向けての具体的な事業を設定し、実施結果を評価するという、民間ではごく当たり前のプロセスを、行政にも取り入れていました。

 このような取り組みにより、平成24年度に1,217件あった落書き件数が、平成28年度には209件まで削減されています。

 朝日新聞の報道によると、今年度は現在まで112件だそうです。

 今回のニュースをきっかけに、より認知度が高まり、さらに落書き件数が減っていくかもしれませんね。


 美瑛町において、この農地への無断侵入問題に対して、目標や評価指標を設定しようとした場合、一番必要となる情報が、農地への無断侵入が具体的にどれだけ発生しているかという情報です。


 今、毎日行っている観光アドバイザーによるパトロールで、この情報は収集されているでしょうか?

 もしかしたら、観光アドバイザーが今日何人注意したかという情報ですら、収集されていないのかもしれません。


 美瑛町への観光入込客数は、ここ数年、年間160~170万人あたりで推移していますが、ピークで見ると、7月・8月が月30万人程度です。

 これを単純に日割りすると、毎日1万人となりますが、7月上旬や8月下旬のウィークデーは、もっと少ないと思いますので、ピークと考えられる7月下旬の週末で3万人程度というのが、良い線かな?と思っています。

 このピーク時3万人/日の観光客のうち、農地への無断侵入は実際にどれくらい行われているのでしょうか? 

 私は前回のブログで、ピーク時で1日数千件程度あるのではないか、と記載していますが、これは私自身がわずか30分間、距離にして2km程度進む間に10名以上注意することはザラなので、その経験から感覚的に見て、これくらい発生していてもおかしくないと勝手に推測しているに過ぎません。

 今の状況では、農地への無断侵入の発生状況が分からないので、定量的な目標も設定できないですし、評価指標もできません。

 それどころか、観光アドバイザーがどの程度足りなくて、あと何名くらい増やさないとならないのかというようなことも、全く分からないのではないかと思います。

 
 なので、私の今の意見としては、農地への無断侵入の実体をできる限り客観的に情報収集する仕組みを構築することが、今後の政策を実行し評価していくための、最優先課題ではないかと考えました。

 その具体的は方法は、一言で表現すると「観光客のスマホを監視カメラにする」です。


 私も以前は、観光アドバイザーの業務を支援するために、観光客やカメラマンが農地への無断侵入のパトロールに協力すべきではないかと考えていました。

 しかし、観光客やカメラマンによるパトロールを美瑛町が後押しするには無理があり、やはり自己責任において行うしかないであろうと考えるようになりました。

 理由は以下のとおりです。

・美瑛ルール違反者に注意した際に、反撃(威嚇や場合によっては暴力)を受けるリスクがあるが、公務員ではないため、その業務遂行を守る法律がない。
・もし、一般人(観光客やカメラマン)が危害が及ぶような事件があった場合、美瑛町がメディアから叩かれることになってしまい、この政策自体が否定されることになりかねない。

 それに加え、今のパトロールには以下のような課題があると考えています。

・パトロールは、単に人数を増やせば良いというだけでなく、パトロールの質を上げなければ、いくら人数を増やしたとしても、効果的にパトロールできないのではないかと考えられる。
(だから私がちょっと見回っただけで、わずか30分の間に10名以上も注意できることがザラにできてしまうのではないかと思っています)
・パトロールの質を上げるためには、単に緑肥のヒマワリが咲いている場所を重点的にパトロールするというような誰もが思いつくことだけでなく、科学的アプローチ(美瑛ルール違反者発生統計を参考にする等)を行う必要があると考えられる。
・そして何よりも、あとどれだけリソースを投入すれば、問題解決に向けて効果的なのかが、誰も分からない。


 それでは「観光客のスマホを監視カメラにする」についての内容に入りますが、概要としては以下のようなことを考えています。

①観光客にスマホアプリを導入してもらい、美瑛ルール違反の写真を撮影したら、撮影日時・位置情報とともにクラウドにアップしてもらう。位置情報サービスがONになっていれば、JPEGファイルのExif情報に撮影日時・位置情報(緯度・経度)が記録されているので、利用者は写真を選択して送信ボタンを押下するのみである(余計は補足情報は入力させない)。

②観光客はスマホアプリを導入した際に会員登録すれば、美瑛ルール違反の写真投稿件数に応じてポイントが付与され、一定ポイントが溜まったら「好きです美瑛商品券」と交換できる。
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③観光アドバイザー向けアプリには、投稿情報がリアルタイムに更新され、直近5分以内に美瑛ルール違反が発生した場所が地図上に表示される。

④技術的に可能であれば、美瑛ルール違反発生場所の一番近くにいる観光アドバイザーに、プッシュ通信で違反発生を通知し、現場への直行を促す。

⑤観光アドバイザーが美瑛ルール違反者を見つけた場合は、注意する前にまず違反の写真を撮り、後でアプリを通してクラウドにアップすることで、発生場所や発生件数を正確に記録するよう努める。

⑥管理者向けシステムとしては、主に農家向けへの情報公開用に、写真に写っている顔や車のナンバーなどの個人情報を隠蔽し、農家向けに公開できる準備を行う。

⑦管理者向けシステムとして、美瑛ルール違反の発生情報を様々な視点から分析して、Webなどを通して一般向けに公開できる仕組みを構築する(情報公開はとても重要だと思います)。

⑧農家向けシステムとしては、会員登録制とし、地域別に発生状況分布を示す地図と、個人情報が隠蔽された写真を見ることができるようにする。農家さんに対しては、この情報に基づいて、土壌検診や輪作計画に生かせるような仕組みを構築する。

⑨農家さんに具体的な被害が発生し、写真よりその関与が疑われる場合、美瑛町に写真の原本を請求することができ、警察への被害届の際に参考資料として提出することができるようにする。

 アプリでの送信対象とする美瑛ルール違反写真の案としては、以下を考えています。
 ・農地への侵入
 ・農地上空でのドローン飛行
 ・ゴミの投げ捨て
 ・撮影不可と指定された場所での撮影

 また、ルール違反の現場写真だけではなく、以下のように後からその状況を撮影したものも対象にすべきと考えています。
 ・ゴミが投げ捨てられた状況の写真
 ・降雪期などにおける農地に侵入した足跡の写真
 ・多くの観光客に踏みつぶされて剥げてしまった小麦畑


 この政策を実行する上で重要なポイントと思うことは、以下の3点です。

①スマホなど位置情報が自動取得できる撮影機器で撮影してもらうこと。
②情報源はJPEG Exif情報と写真のみとし、余分な情報は入力させないこと(短時間に、簡単な作業手順で送信してもらうため)。
③美瑛ルール違反の情報収集が目的であるため、決して観光客に注意することを義務付けたり、推奨したりしないこと(観光客間で余計なトラブルが発生してしまうリスクがあり、スマホで違反写真を送信するから、こんなことになるのだとメディアに叩かれる可能性も考えられるため)

 但し、①については、外国人の場合、プリペイドSIMカード等の利用によりデータ通信サービスが利用できるようにする必要があるため、もしデータ通信サービスの利用率が高くないのであれば、当初はアプリ利用者の対象から外した方が良いのかもしれません。
(モバイルWiFiは、恐らく街中でしか使えないのでは?)


 構築する際のクラウドサービスとしては、ニフクラが(Nifty Cloud mobile backend)良いのではないかと考えています。

 私も、「北海道Quiz」というアプリで、利用者のニックネームとパスワードの管理、クイズの連続正解ランキングの管理を、このニフクラを利用して行っています。

 ニフクラには以下のような機能があるため、有効活用すれば、色々な対策として活用できそうです。

【会員管理・認証】
メールアドレス認証、SNSアカウントでの認証、ロール(観光客、観光アドバイザー、管理者、農家など)
【データストア】
会員情報管理(メアド、ニックネーム、パスワード、獲得ポイントなど)、美瑛ルール違反情報管理(撮影日時、位置情報など)、ランキング管理(会員にニックネームを登録してもらい、獲得ポイントランキングを表示するなど)
【ファイルストア】
美瑛ルール違反の写真管理(原画像と個人情報隠蔽画像)
【位置情報検索】
美瑛町役場から半径25km以内にいる人の検索、特定のスポットの近くにいる人の検索など


 このようなシステムを構築することにより、観光客にアプリを導入してもらい、丘めぐりの最中に発見した美瑛ルール違反を撮影・投稿してもらうことで、多くの人のスマホを監視カメラとして、美瑛ルール違反情報を定量的に収集・分析できるようにし、この問題解決に向けての目標設定や評価指標の設定に生かせるようになるのではないかと考えています。

 加えて、観光客のスマホが監視カメラであることが広まることにより、美瑛ルール違反行為の抑止力になる可能性も秘めていると思います。


 またこのアプリを監視カメラとしての機能だけではなく、位置情報検索とプッシュ通信を連動させることにより、「美瑛町周辺(例えば町役場から半径25km以内)に来たら、美瑛ルールのリンクをプッシュ通信でお知らせする」「緑肥のヒマワリが咲いている場所に来たら、農地への無断侵入を抑止するメッセージをプッシュ通信で送信する」なんてことが、技術的には恐らく可能のようです。
(勿論、緑肥のヒマワリが咲いている場所を、管理者が定期的にロケハンしてシステムに登録する必要があります)

 GPSの精度がもっと向上すれば、「公道から農地に侵入したタイミングでスマホのアラートを鳴らす」なんてことが、将来的には可能になるかもしれません。


 もちろん、このような仕組みを作るにあたっては、プライバシーポリシー(個人情報保護方針)を作成し、会員登録された情報の利用範囲、投稿された写真の利用範囲を明確に示すことが必要なのは、言うまでありません。


 以上が、今回のテーマ「観光客のスマホが美瑛の未来を担う」に関する私からのの提案です。


 問題は、美瑛ルールやこのアプリ導入を広めていくためにはどうすれば良いかということですが、それは次回のブログで提案させて頂きたいと思います。


 
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